マンション管理組合の役員に初めて選任される方には、役員とは何か、理事会とはどのようなことをするのか、不安に思われていることも多いと思います。そんな方のために管理組合の中心的な役割を担う「理事会」と「役員」について、それぞれの役割などをまとめてご説明いたします。
マンション管理組合は区分所有者(=組合員)全員で構成されますが、毎回全員が集まって話し合って物事を決めるのは合理的ではありません。そこで、管理組合の業務を円滑に遂行していくために、管理規約の定めに基づき一定数の「役員」を総会で選任し、その業務の執行を任せることになります。役員には大きくわけて「理事」と「監事」とがあり、理事は理事全員で「理事会」を構成します。
理事会は次のような業務を行います。
理事会が行う業務
1.収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案の策定
2.規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案の策定
3.長期修繕計画の作成又は変更に関する案の策定
4.その他の総会提出議案の策定
5.理事長あてに申請された専有部分の修繕等に対する承認又は不承認の決定
6.法令もしくは規約等違反又は共同生活の秩序を乱す者に対して理事長が行う勧告、指示、警告等の決定
7.その他総会から付託された業務
理事は、「理事長」「副理事長」「会計担当理事」等の名称により、それぞれ固有の役割を果たす場合があります。特に「理事長」は管理組合の代表者であり大変重要な役職です。理事長の職務には次のようなものがあります。
理事長の職務
1.総会及び理事会の招集
2.総会及び理事会の議長
3.総会及び理事会の議事録の作成及び保管
4.総会における管理組合の業務執行に関する報告
5.会計帳簿、組合員名簿等帳票類の作成及び保管
6.駐車場使用契約の締結
7.業務委託・請負契約の締結
8.損害保険契約の締結、保険金の請求及び受領
9.未納管理費等の請求
監事は、管理組合の会計や理事会の業務執行状況について監査し、総会で報告する役割を担っています。監事は理事会の構成員ではないため、理事会の決議に参加することはできません。
管理組合の業務の執行及び財産の状況に不正があると認められた場合は、臨時総会を招集する権限を持っています。
「理事会」というとき、組織としての理事会を指す場合と、会議としての理事会を指す場合があります。
理事会の会議は、マンション標準管理規約による場合、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決することになっています。また、理事会の招集手続きは、総会の招集手続きを準用しますので、正式には一定の期日までに招集通知を発しなければならないこととなります。ただし、別段の定めをすることもできます。
なお、理事会については、総会の場合と異なり、書面又は代理人による議決権の行使を認める規定を置いていません。つまり、理事が理事会に出席せずに他人に議決権を委任したり書面で議決権行使したりすることは想定していないということです。
しかしながら、これでは運営上問題があるため、理事に事故がある場合に限り、配偶者又は一親等の親族に限り代理出席を認める旨を規約に定めることが考えられます。
また、理事会の出席率を上げるためには、あらかじめ年間のスケジュールを決めるなどして、計画的な運営を図ることも必要です。
理事会の議事録は、マンション標準管理規約による場合、総会の議事録同様に、議長である理事長が作成し、議長及び2名の出席理事が署名押印しなければなりません。また、理事長は議事録の保管及び閲覧請求に応じる義務があります。
議事録は、理事会終了後速やかに作成し組合員に配付されることが望まれます。議事録の配付は規約上の義務ではありませんが、理事会活動の周知と管理に対する意識を高めるために重要な役割を果たすことになります。
理事会の日常の業務範囲を越えるような課題、継続して検討すべき特定の課題等に取り組むために、理事会とは別に専門委員会を設置することが考えられます。専門委員会は理事会の諮問機関とし、調査又は結果を理事会に具申します。
理事会が行うべき業務のうち、実際の業務の多くは、管理業務の委託を受けた弊社が行うこととなりますが、業務の執行権限はあくまでも理事会にあります。弊社では、理事会業務に関する提案、アドバイス、準備等を出来得る限りサポートしてまいりますので、ご相談がございましたら遠慮なく弊社担当フロントまでお申し付けください。